中小企業診断士 令和6年度 企業経営理論 第37問|価格設定戦略の種類と具体例を過去問で解説!

 

中小企業診断士の企業経営理論では、マーケティング戦略の中でも「価格設定戦略」が頻出テーマのひとつです。本記事では、令和6年度第37問の過去問をもとに、キャプティブ・プライシングやフリーミアムといった価格戦略の定義や事例をわかりやすく解説します。試験対策や理解の確認にぜひご活用ください。

出題の概要と学習ポイント

  • 各種価格設定戦略の定義と目的の整理
  • カニバリゼーション、補完財、価格変動の概念理解
  • 実務・実例と照らし合わせた見極め力

価格戦略に関する用語解説

● 価格バンドリング(Price Bundling)

複数の商品やサービスをセット販売し、単品購入よりもお得に見せる価格戦略。
例:ファストフードのセットメニューやソフトウェアのパッケージ。

この戦略では商品間の補完性や一体的な価値が重要であり、セット利用の相性の良さが価値を高めます。

● キャプティブ・プライシング(Captive Pricing)

本体を安く提供し、補完品で収益を上げる戦略。
例:プリンター本体は安く、インクカートリッジは高めに設定。

● ダイナミック・プライシング(Dynamic Pricing)

需要や時間帯などに応じて価格を変動させる戦略。航空券・ホテルのほか、近年ではAmazonや楽天などのECサイト、自販機などでも導入されています。

● フリーミアム(Freemium)

基本サービスを無料で提供し、プレミアム機能で課金するモデル。
例:スマホアプリ、クラウドサービス、SaaSなど。

価格帯に関係なく、無料提供が来店・登録の動機付けになるため、低価格商品でも有効です。

令和6年度 第37問|問題と解説

価格設定に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 価格バンドリングでは、バンドリングされる2つの商品間におけるカニバリゼーションを避けるため、商品間の品質や価格などの差を十分に大きくしておく必要がある。
イ キャプティブ・プライシングは、例えばプリンターとインクカートリッジのような組み合わせにおいて、プリンターの価格を安くして購入を促し、インクカートリッジで利益を確保していこうとする価格戦略である。
ウ ダイナミック・プライシングは、宿泊や航空のサービスなどの需給に大きな変化が生じやすいカテゴリーでは適応されるが、自動販売機や小売店頭で販売されるような需給の変化が小さいカテゴリーでは適応されない。
エ フリーミアムは、スマートフォンなどの高価格商品においては当該ブランドを選択する吸引力になりうるが、ファストフードのコーヒーなどの低価格商品においては当該店舗に来店する吸引力になりにくい。



正解と解説を表示 ✅【正解】イ

ア:誤り

価格バンドリングにおいてカニバリゼーションを避けるために「価格や品質の差を大きくする」という考え方は誤りです。むしろ補完性の高い商品を一体的に提供することで、価値を高める戦略です。

イ:正解

キャプティブ・プライシングは、本体を安く、補完品で収益を確保する戦略の典型。プリンターとインクの関係はその代表例です。

ウ:誤り

近年ではECサイトやIoT自販機など、需給の変化が小さいとされてきた商品でもリアルタイム価格調整(ダイナミック・プライシング)が進んでおり、「適応されない」という断定は誤りです。

エ:誤り

フリーミアム戦略は価格帯に依存しません。無料サービスは低価格帯商品でも集客や試用の導線として有効に活用されています(例:無料のコーヒー提供など)。

まとめ:試験対策ポイント

  • バンドリング:補完性がカギ。価格差は本質ではない。
  • キャプティブ・プライシング:本体導入→補完品で利益。
  • ダイナミック・プライシング:ECや自販機でも活用が進行中。
  • フリーミアム:無料→有料の導線。価格帯に関係なく有効。

おわりに

用語の定義にとどまらず、実際のビジネスでの活用例や最新動向を踏まえて理解することが得点力につながります。