はじめに
中小企業診断士1次試験「経営情報システム」では、ICTやマネジメント手法に関する知識が幅広く問われます。
その中でも「バランスト・スコアカード(BSC)」は、IT投資の効果を多面的に評価できる重要なフレームワークとして頻出です。
この記事では、令和元年度の過去問をもとに、BSCの4つの視点について深掘りしていきます。
バランスト・スコアカード(BSC)とは
BSCは、ハーバード大学のキャプランとノートンが開発した業績評価の手法で、経営戦略を4つの視点から「バランスよく」管理・実行していくことを目的としています。
● BSCの4つの視点
- 財務の視点:売上高や利益、コストなどの財務成果
- 顧客の視点:顧客満足度、市場シェア、リピート率
- 業務プロセスの視点:業務の効率性や品質、生産性
- 学習と成長の視点:人材育成、組織力、IT基盤など将来の成長力
この4つの視点を通じて、短期的成果と長期的成長を両立する経営が可能になります。
過去問で学ぶ:令和元年度 経営情報システム 第21問
R.S.キャプランとD.P.ノートンが開発したバランスト・スコアカード(BSC)は、情報通信技術(ICT)投資の評価手法の1つとして使われることがある。BSCでは4つの視点から評価するとされているが、この4つの視点に含まれないものはどれか。
ア 学習と成長の視点
イ 競合企業の視点
ウ 業務プロセスの視点
エ 顧客の視点
オ 財務の視点
正解と解説を表示
✅ 正解:イ 競合企業の視点
「競合企業の視点」は、BSCの4つの視点には含まれていません。BSCはあくまで自社の内部と顧客・財務の関係性を評価する枠組みであり、競合の動向は間接的にしか反映されません。
選択肢 | 該当する視点 |
---|---|
ア 学習と成長 | ✅ 含まれる |
イ 競合企業 | ❌ 含まれない(誤答) |
ウ 業務プロセス | ✅ 含まれる |
エ 顧客 | ✅ 含まれる |
オ 財務 | ✅ 含まれる |
まとめ:試験対策のポイント
- BSCの4視点を丸暗記ではなく「意味」と「対象指標」まで整理する
- ICT投資評価など他分野との関連性も押さえる
- 「競合」や「市場環境」はBSC外の要素として注意
おわりに
バランスト・スコアカードは診断士試験だけでなく、実務でも広く活用されるフレームワークです。
問題文では用語の定義そのものではなく、「何が含まれ、何が含まれないか」といった本質が問われています。
今後もIT投資や経営管理の出題において関連知識として頻出が予想されるため、確実にマスターしておきましょう。