【企業経営理論】A-Uモデルとは?産業の進化とイノベーションの関係を読み解く!|過去問解説付き

 

今回は中小企業診断士試験「企業経営理論」から、A-Uモデル(アバナシー=アッターバックモデル)について、わかりやすく解説します。
記事後半では、実際に出題された過去問の解説
も行いますので、試験対策としてぜひ最後までチェックしてください!

A-Uモデルとは?(アバナシー=アッターバックモデル)

A-Uモデルとは、W.アバナシーとJ.アッターバックが提唱した「技術革新(イノベーション)の進化と産業発展の関係性」を示したモデルです。

このモデルでは、産業の発展を以下の3つの段階に分けて説明します。

1. 流動的段階(Fluid Phase)

  • 製品イノベーションが活発

  • 顧客ニーズが多様で不明確

  • 技術やデザインにバリエーションが多く、試行錯誤の段階

  • 組織は有機的組織(柔軟性が高い)が求められる

2. 移行段階(Transitional Phase)

  • 市場ニーズや評価基準が一定方向にまとまり始める

  • ドミナントデザイン(支配的設計)」が出現し、製品の標準化が進む

  • 製品イノベーションから工程イノベーションへ関心が移る

3. 特化段階(Specific Phase)

  • 工程イノベーション(大量生産やコスト削減技術)が中心

  • 競争は製品の差異よりも効率性・コストで行われる

  • 組織は機械的組織(標準化・規律重視)が最適とされる

このように、イノベーションの主軸が「製品→工程」へとシフトし、産業と企業組織の形も変わっていくのがこのモデルの特徴です。

A-Uモデルに関する過去問(令和6年度第9問 企業経営理論)

では、実際にこのモデルに関して出題された過去問を見てみましょう。

問題

W.アバナシーとJ.アッターバックによって提唱された産業発展の段階とイノベーションのモデル(A-Uモデル)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア ある製品について、使用状況、仕様、評価基準が顧客の間で共有されるようになると、ドミナントデザインが定まってくる。
イ 生産者の評価基準は、工程イノベーションが主流になると、コストから製品の新規性に移っていく。
ウ 製品そのものや、それを背後で支える各種の要素技術の進歩をもたらす製品イノベーションは、ドミナントデザインが生じた後により多く現れる。
エ ドミナントデザインが出現すると、機械的組織よりも有機的組織が、その産業において増えていく。
オ ドミナントデザインが出現すると、製品イノベーションも工程イノベーションも活発化する。

 

正解と解説

✅ 正解と誤りの選択肢を詳しく解説

正解:ア

「ドミナントデザイン」は、移行段階で市場における評価基準や仕様が共通化したときに出現するというのがA-Uモデルの基本です。選択肢アはその内容を正確に説明しています。

❌ 誤りの選択肢とその理由

  • イ:誤り
    → 工程イノベーションが主流になると評価基準は新規性よりもコストにシフトします。記述が逆です。
  • ウ:誤り
    → 製品イノベーションのピークは ドミナントデザイン出現前(流動的段階) です。その後は減少します。
  • エ:誤り
    → 有機的組織が求められるのは流動的段階。ドミナントデザインが出ると標準化・効率性重視の機械的組織に変化します。
  • オ:誤り
    → 製品イノベーションと工程イノベーションが同時に活発化することはありません。主軸は段階に応じてシフトします。

学習のポイント

「ドミナントデザインが出現する前後で何が変わるか」を意識して学びましょう。
✅ 組織構造(有機的/機械的)との対応も出題されやすいので一緒に覚えると効果的です。
✅ 「製品イノベーション」と「工程イノベーション」のタイミングの違いは鉄板テーマです!

まとめ

A-Uモデルは、難しそうに見えますが、流れで理解すれば決して難しくありません!
このモデルが問うのは、「市場の変化に対して企業がどのように組織や戦略を変えていくべきか」という本質的な視点。実務でも活かせる考え方ですので、しっかり押さえておきましょう!