中小企業診断士試験を勉強することのメリット

中小企業診断士試験の試験範囲は膨大です。

勉強を始めた当初は頂上の見えない登山のような気持ちに陥ることもあるかと思いますが、苦労が大きい分得られるリターンも大きいです。

中小企業診断士試験の魅力は、資格取得はもちろんのことですが、勉強することそのものに大きなメリットがあることです。

そのメリットを実感できれば、勉強のモチベーション維持にも繋がります。

では、一体どんなメリットがあるのでしょう?

その疑問を解消することで、中小企業診断士試験に興味を持つ方が増えれば幸いです。

中小企業診断士試験の勉強をするメリット

資産運用を始めた

財務会計の勉強を進める中、PER、PBR、EPS、BPS、ROE、ROA、配当性向といった指標を知ったり、NPVでお金の時間的価値という概念に触れたりするうちに、自然と株式投資を始めとする資産運用に関心が向いていきました。

最初は試験勉強で得た知識を活用して、銘柄分析をしっかりして、個別株投資をしようと意気込んでいました。実際に優待目当てで個別株投資もしましたが、様々な投資本を読んだり、多少の経験値を積んだ結果、今ではインデックス投資に落ち着いています。

資産運用を自分でやることで、指標の意味がより深く腹落ちしたのは大きな収穫でした。

日経新聞を読むのが楽しくなった

勉強開始前と比較して、日経新聞の経済記事に対する理解度が格段に上がりました。

特に理解度アップに寄与した科目は財務会計と経済学でした。

財務指標やマクロ経済の知識を得たことで、記事が生きた情報として頭の中に入ってくるようになりました。

試験勉強で得た知識が実践的なものとして具体化されるような手応えがありました。

資産運用を始めたことも大きく影響していると思います。というのも、株式市場の動きが自分の資産の増減に直結するので、市場に参加する当事者として記事を読むようになりました。

読書の幅が広がった

昔から読書が好きで主に小説を読んでいたのですが、診断士の勉強を始めてからというもの、これまで素通りしていたビジネス書を読むようになりました。

経営理論、人事戦略、ファイナンス、経済学、マーケティングといったジャンルの書籍を、診断士試験の副読本としてよく読むようになったのです。

読む本の幅が広がるというのは、資格試験の大きな副産物だと思います。

資格試験の勉強を重ねることで、読める本、読みたい本が増えるというのは、とても価値のあることだと思います。

仕事の解像度が上がった

中小企業診断士は、中小企業の経営課題の解決に向けて診断や助言を行う専門家であり、経営コンサルタントの国家資格です。

幅広い知識が求められるので、普段の仕事に応用できる範囲が広いのです。

思考プロセスの深化

例えばですが、企業経営理論では様々な組織構造を学びますが、そのひとつに事業部制組織があります。

事業部制組織といえば、「利益責任が明確になる、意思決定が迅速になる、外部環境の変化に対応しやすい」といったメリットがある反面、「セクショナリズムに陥りやすい、短期志向になりがち、経営資源が分散する、機能重複によるコスト増」といったデメリットがあります。

実際私の働いている会社では事業部制組織を採用しているのですが、事業部長同士は対立することも多いです。

中小企業診断士の勉強を始める前の私は「また喧嘩しているよ」くらいにしか思わなかったのですが、勉強を始めてからは以下のように考えるようになりました。

事業部長が自部門の利益を優先するのは、事業部長に対する評価が各事業部の利益のみが基準となってるせいなのでは?

利益以外の部分が公平に評価されないのであれば、短期的な利益追求に走ってしまうのは止められないよな。

だったら、貢献利益や管理可能利益を評価基準に入れたり、コンピテンシー評価を採用してはどうだろう?

そうすれば、事業部間の交流が活性化し、シナジーが生まれるのではないだろうか?

現場の社員も事業部長同士の対立を見るよりは、各事業部が協力して仕事をしている方がモラールがあがるのではないだろうか?

このように、中小企業診断士を勉強することにより、ものの見方がより深化したように感じます。

補助金制度の活用

1次試験の科目の一つである「中小企業経営・中小企業政策」では、その名の通り中小企業向けの政策にどんなものがあるのかを学べます。

暗記科目なので受験生からは嫌われがちな科目ですが、中小企業で働く上では非常に重要な科目です。

「中小企業経営・中小企業政策」を勉強することで、中小企業向けに様々な補助金が用意されていることを知り、実際にいくつか申請を行い、交付を受けることができました。

「事業承継・引継ぎ補助金」の申請をした時は、ちょうど2次試験の初挑戦に向けて勉強をしていた時期だったのですが、2次試験で学んだエッセンスを補助金の事業計画作成に活かすことできました。

仮に中小企業診断士試験の勉強をしていなかったら、「事業承継・引継ぎ補助金」の存在を知ることもなく、補助金交付という成果を上げることもできなかったでしょう。

まとめ

以上のように、中小企業診断士試験に挑戦することにはいろいろなメリットがあります。

もちろん勉強するからには合格を勝ち取りたいですが、結果がどうあれ、そこに至るプロセスでは様々なメリットが得られると思います。